グロービス社の GMAP BF 編を受験した
グロービス社が実施している GMAP BF 編 という試験を受験した。
受験料は会社負担。会場は自社のオフィスだった。
受験科目
以下の科目を受験した。科目は会社で規定されていたので自分が選んだわけではない。
- マーケティング
- 経営戦略
- 人的資源管理
- 組織行動学
- 企業会計
成績
科目 | スコア |
---|---|
マーケティング | 759 |
経営戦略 | 660 |
人的資源管理 | 630 |
組織行動学 | 654 |
企業会計 | 718 |
スコア 650 以上が A 評価とのことで、人的資源管理のみ B 評価となり悔しい結果となった。人的資源管理はあまり難しくなかった印象だったのだが...
マーケティングは 1 番自信がなかったが、偏差値換算で 75.9 (母集団に対して上位 0.6 %) という謎の好成績だった。
企業会計は 3 問不正解で上位 1.3 % 前後の成績。科目の性質としては難易度が高そうだったが、まずまず良かった。これは日本の中小型株のファンダメンタルズ投資に真剣に取り組んでいた時代の賜物かもしれない(多分関係ない)
試験対策
GMAP BF 編では、グロービスMBAマネジメント・ブック 改訂3版という書籍の内容を元に問題が出題される。この書籍は会社の経費で購入できた。自分は電子版を購入したが、特に Kindle で読んでいて不便はなかった。
書籍の全体が試験範囲なわけではなく、受験科目に対応した章のみが試験範囲になる。
暗記
まずは点検読書として、試験範囲に該当する章のみざっくりと拾い読みをした。次に Anki というアプリを使用して暗記したい内容をカード化した。この時点では書籍の本文にはあまり目を通さず、見出しになっているキーワード(や定義)、図を中心にカードにした。
カード作成は PC (Mac) で行い、暗記作業は iPhone で行った。
カード作成を PC で行う利点としては以下があった。
- キーボードが使えるので文字の入力速度が速い
- 図をスクリーンショットとしてカードに貼り付け可能
- (デュアルモニター環境なら)一方の画面で Kindle を開き、もう一方の画面でカードを作成可能
暗記は 5~10 分程度のスキマ時間を見つけてコツコツやっていた。iPhone だとスキマ時間にすぐ取り出してアプリを起動できるので良かった。
演習
ある程度暗記が完了した後は GMAP 練習問題で知識の定着具合と抜け漏れを確認した。書籍の本文にしか載っていない内容も練習問題に含まれているので、ここで間違った内容を元に本文を参照して Anki のカードを補充していった。
ここまでの作業を大体 2~3 週間ぐらいで実施し、大体記憶に定着させた。
GAMP BF 編の出題は半分が知識問題で、残り半分は提示された文章や資料の読解問題(ケース問題)となっている。出題の半分を占めているにも関わらず、ケース問題の練習問題はほとんど存在しない。一応ケース問題の対策に有効(と言われている)書籍も存在はしているようだが、どれだけ GMAP BF 編の出題傾向と合っているか不明なのと会社の経費で購入できないことから、購入は見送った。
ケース問題対策としては、Web 上にあった例題で雰囲気を把握すること以外はしなかった。
その他
受験日の 2 日前ぐらいから書籍(の試験範囲の章)を通読して、記憶したキーワードに関する背景や具体例、章を跨いだ繋がりなどを確認した。
他には暗記した知識を体系的に整理するために、Cosense (Scrapbox) で箇条書きのマインドマップを描いた。例えば、PPM というフレームワークでいうと、全社戦略 -> 資源配分 -> 事業ポートフォリオ -> ポートフォリオマトリクス -> PPM のように上位概念との紐づけを確認した。
このようにマインドマップで整理して気付いたが、この書籍は(経営大学院が出版しているので当然かもしれないが)アカデミックな傾向が強く、しっかりと体系的な構成になっている。見出しの順序や構成には意味があるし、用語の定義は曖昧さが少ない。
一方で、この書籍を読みにくいと感じる人は少なくないようだが、その一因は「今自分は全体の中のどこにいるんだろう?この章はいったいいつ終わるんだろう」と迷子になってしまうからなのかもしれない。章ごとのボリュームが多いので単に通読していると、頭の中で体系的な整理が追いつかない。
出題に対する印象
実際に受験して、確かに書籍の内容が身についていれば一定のスコアは取れるが、それ以上のスコアは学習量に比例しないだろうな、という印象を受けた。知識量ではなく読解力や論理的思考力でしか対処できない問題も含まれているので、準備だけでなく試験時のパフォーマンスや個人の資質に依存する部分が大きい。
後は、数問ではあるが、明確な根拠を持って選択肢を絞込めないようなものもあった気がする。単純に自分の能力不足でそう感じただけかもしれない。
企業会計の計算問題は、B/S に関するものと損益分岐点売上高に関するものが出題された。こちらも単純に公式を暗記して適用するというよりは、一段階程度は工夫が必要だったと思う。自分が正解していたのか分からないので多分そうだったんじゃないかなという感じだけれど。
単純に書籍を丸暗記すれば高いスコアが取れるわけではないが、学習によって少なくとも一定のスコアは保証されるという意味では、GMAP BF 編は良い試験と言えるかもしれない。
所感
久しぶりの試験勉強は思ったより楽しかった。試験が終わってもう iPhone で Anki アプリを起動しなくて良いのか、と思うと少し寂しさすら感じた。時期的に大学の期末試験と同じなので懐かしさもあった。この後に夏休みが待っているわけではないけれども、試験が終わった後の開放感も懐かしさがあった。
学習内容については試験以外でも役に立ちそうなものが多かったので有意義だった。自分は技術職なので、例えば経営戦略や組織構造についての知識が直接的に業務で役に立つわけではないが、経営者や人事、マネージャー等、他の職種の人たちが持つ基礎的な知識や考え方を知ることができたという点で良かった。
学習時間については、スキマ時間の暗記を除くと平日に 1 時間程度は集中して取り組んだ。基本的に平日のみで完結させることができたので良かった。1 歳の子がいるので休日に試験勉強をする時間が取れない。
金銭面については、学習から受験まで私費は一切使わないことにしていて、それを守れたのも良かった。正確には iPhone の Anki は有料アプリだが数年前に購入済みだったのでノーカウントとしている。電卓は自宅にはなかったが、会社の電卓をレンタルして済ませた。書籍は「グロービス MBA マネジメント・ブック 改訂 3 版」だけでそれなりのスコアが取れたので、結果的には他の書籍を購入しなくて良かった。
まとめると、時間的にも金銭的にも最小限のコストでビジネスに関する知識が得られたので受験して良かった。